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映画・本の感想など


by muyokunohoshi
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あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった_f0032055_1641693.jpg








「今日一日を精一杯生きようよ。 生きていればきっといいことあるからさ」

製作著作、日テレ。脚本を担当する中園ミホさんの大叔父にあたる方がこの映画の主人公のモデルになっています。

1944年、8月15日-オーストラリア連邦ニューサウスウェールズ州カウラで日本兵捕虜が無謀な脱走計画たてた。日本人収容者数1,104名の内、545名以上がこの計画に加わり、死者数235名(オーストラリア人 4名、日本人 231名)、日本人負傷者数108名という惨事を生んだ。第二次世界大戦が終わる10日前の、満月の綺麗な夜のことであった。

このカウラ事件というのを、映画を通して初めて知りました。なぜ、あともう少し人々は待てなかったのでしょうか・・・?あと10日で、戦争は終わったというのに・・・。朝倉憲一兵長はあくまで戦陣訓を守ろうとしながら現状に悩む兵長であり、一方妻のいる日本に帰るため必死で生き残ろうとした嘉納二郎伍長はほがらかで平和主義的であり、最後までこの脱走計画に反対の意を通しました。この二人を、小泉孝太郎と大泉洋が好演しています。「トイレットペーパーより薄かった」という題は、脱走計画に賛成か反対の意見を集約する時に、トイレットペーパーの紙を使用したことから、この題になったというわけですが、この時代、市民の命が消耗品のように扱われていたのだと思うと本当に悲しく、また改めて反戦の気持ちを起こさせてくれます。夏の終戦の時期になると、様々な番組がテレビで組まれますが、やはりそうして毎年毎年「戦争はいけない」という気持ちを思い出すことは、大切なのだと私は思います。ともすれば、バーチャルゲームの世界で簡単に戦争をし、簡単に人を殺すことが出来る今、戦争を知り、思い出す慣習を守る意味は大きくなってきているでしょう。
# by muyokunohoshi | 2008-08-27 17:13 | 映画

ウォーター・ワールド

ウォーター・ワールド_f0032055_16313433.jpg








ケビン・レイノルズ監督。

温暖化により地球両極の氷が溶け、土地が海水に沈んでしまった未来。人々は人工の土地(島)を造って暮らし、水上の生活に適応して生きていた。真水や土、そして苗木や紙などのありふれたものが、土地が水に沈んでしまった未来では貴重なものであった。船の上で暮らすマリナー(ケビン・コスナー)は立ち寄った人工島で、伝説の土地「ドライ・ランド」へと続く地図が背中に刺青されている少女エレーナと出会う。彼は酒場の女ヘレンと少女エレーナと共にドライ・ランドを目指し旅に出るが、海の上ではキャプテン・ディーコン率いる海賊軍団スモーカーズがエレーナの持つ刺青を狙って待っていた。

初めて見たのは中学生の時で、USJへ遠足へ行くのに学習の為とか言って皆で見た記憶があります。大事なところはあんまり覚えてなくて、死んだ人をリサイクルするあの気持ち悪いシーンははっきり覚えていました。それから10年ほど経ち、中学生の時以来久しぶりに見ました。
色んなサイトで悪評されているこの作品ですが、私はけっこう好きです♪音楽が本当に良くて、メインテーマの曲は作中で流れ出すたびにどきどきさせ、海の冒険をいっそう盛り立ててくれます。悪役ディーコンが車を乗り回すシーンのBGMは、どこかの車のCMでも使われていたカッコイイ曲です。この映画は映画100年を記念して史上最高の1億7500万ドルの制作費が投入されたようで、それだけアクションは見ごたえがあります。ユーモアで笑わせてくれるところも数多くあり、大きな怪物ワニに襲われたと思ったら次のシーンではそのワニを火で焼いてぱくぱく食べるシーンが私は好きですね♪オレンジの苗木が出てきたところとか、先ほど記したワニのシーンなどを見ていると、なぜか漫画の『ワンピース』を思い出してしまいました。
環境問題を示唆する作品のようにも受け取れますが、実際は北極と南極の氷が溶けてもあそこまで土地が沈むことはないようです。しかし一方、水面上昇によるツバル国の存続があやぶまれている今、このSF映画も部分的に現実となってしまっているのかもしれません。あとはケビン・コスナーの髪が薄いのたまに気になってしまうんですが、丸坊主にするとディーコンとかぶってしまうし、ふさふさの長髪にするともう1人の悪役とかぶってしまうので、難しいところです。バイオレンスシーンも多くあり、優しい心を持つ主人公なのに人を気にせずぶっ殺しています。でもやっぱり酷い映画といわれようとも、私には思い出もあるので愛着のある映画です。
# by muyokunohoshi | 2008-08-27 16:34 | 映画

サトシ・マイナス

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早瀬乱著。
サトシは22歳の大学四年生。交際相手カレンとの結婚話を母にする当日になって、彼は車を運転している途中にポケットから異様なメモを見つけ出す。そのメモにはサトシが行動を早まらないように注意したものだったが、サトシには覚えがない。カレンを迎えに行った後自宅に向かい、会社帰りの母親を待っていたが、母親は約束の時間には帰って来なかった。緊張のせいか、急に疲れたサトシは母親が帰ってくるまで眠るとカレンに言い眠りについたのだが・・・次にサトシが目を覚ました時には、彼は「もう一人のサトシ」になっていた!

サトシには複数のキャラクターが自分の中に存在します。一つは静かな大人の「サトシ・マイナス」、もう一つは活発な子どもの「サトシ・プラス」。そして、実はもう一つの人格が・・・。なぜ、サトシが複数の人格を持つようになったか、そしてなぜ封印していた人格「サトシ・プラス」が今になって出現するようになったか。父親からの影響や小学生から中学生になることへの変化が大きくサトシに影響していますが、このあたりの描写が自分にも覚えがある体験が多く、この物語に親近感が沸きました。また、複数のキャラクターを持つ主人公の心理描写が面白く、個人的には小学生や中学生、高校生が読書感想文を書くのには持ってこいの本ではないかと思います。

誰しも自分自身を常にひとつの人格に保つことが出来ないでしょうし、そうやって社会に適応していくものだとは思います。しかし、やはり自分中での大事な部分は押し込めたり消してしまったりしない方がいいのではないでしょうか。思春期から青年期を通して、アイデンティティーの形成を考えるのにはとても良い本だと思います。どの年代の人にもおすすめですが、今の小学生~大学生の方には特におすすめしたい本です。
# by muyokunohoshi | 2008-08-11 18:45 |

スカイ・クロラ

スカイ・クロラ_f0032055_1635562.jpg










「君は生きろ、何かを変えられるまで」

押井守監督。
永遠に歳をとらない子どもたち、「キルドレ」。彼らは戦争がショーとして成立する世界に生み出され、戦闘機に乗り空へ舞い上がる。キルドレの一人、函南優一(かんなみゆういち)は新しく配属された基地で、上司の草薙水素(くさなぎすいと)に出会う。函南は栗田仁朗(くりたじんろう)というパイロットの後任としてやって来たのだが、その栗田が草薙に殺されたという噂を知る。そして草薙の「妹」が、実は草薙の「娘」だというもう一つの噂も・・・。草薙には幾つかの謎があったが、どうやらキルドレであることと関係がありそうだ。一方、函南の所属する陣営は高スコアをあげていた。函南も基地ではエースパイロットとして活躍していた。しかしそんな中、見方が敵のエースパイロット「ティーチャ」に撃墜されてしまう。
デジャヴと日常、絡み合う過去。戦争を仕事に永遠を生きる子どもたちの寓話。

森博嗣原作、『スカイ・クロラ』シリーズの一作目にあたる物語をアニメーション化した映画です。今日、映画館で見てきました!小説の方も先に読んでいたのですが、小説の感想はまた後々書きます。

まず、音楽の質はすごい良かったです。小さな音を背景に入れているところに、ディティールへのこだわりを感じました。オープニングのクレジットの文字も良かったです。飛行機の目線で空を飛んでいて、スタッフの名前が次々に出てくるのですが、着陸に入る時にちょうど「監督 押井守」の文字が画面に映るのですね。その文字の影が地面に投影されているのを見たら、その影を見つけられた自分自身に嬉しくなってテンション上がってしまいました♪

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# by muyokunohoshi | 2008-08-06 18:40 | 映画

プレイタイム

プレイタイム_f0032055_1336107.jpg








ジャック・タチ監督。私の大好きな監督さんです♪

ここはパリの高層ビル街。この一角のオフィスを尋ねてきたユロ氏は、待たされた挙句ビルの迷路に迷い込んでしまう。流されるままに夜のパーティーにもぐりこんだユロ氏は、ドンちゃん騒ぎを重ね、やがて朝を迎える…。タチの実験精神が試された70ミリ映画の大作。(アマゾンより)

1960年代に作られた作品なのに、いっこうに色褪せません。町も服も本当におしゃれで粋で、時代を一歩飛ばして二歩進んだような感じがします。ユロ氏はほとんどしゃべっていませんが、事あるごとに滑稽な展開になってしまいます。でもそれも、人を傷つけないユロ氏の優しさゆえに起こってしまっているんですよね;そこがまた面白いというか…。最後はユロ氏が女の人に綺麗なスカーフをプレゼントします。この、「ピエロと若い女性」というような組み合わせは、同監督の映画『ぼくの伯父さんの休暇』でもラストを飾る要素となっています。たしかに一見チャップリンの映画に似たジャンルだと感じますが、音楽やストーリー展開のテンポ、役者の表情、カメラのアングルは全然違います。チャップリンはチャップリン、ジャック・タチはジャック・タチの映画として愛せる特徴がそれぞれあり、私はどちらの監督の映画も大好きです。
# by muyokunohoshi | 2008-05-04 13:51 | 映画