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映画・本の感想など


by muyokunohoshi
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スワロウテイル

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「それでこのタトゥーを彫ったの。死んでもこれが目印になるでしょ?言うなれば、これがあたしのIDカードってとこね。あんたも欲しい?」

岩井俊二監督の作品。
三上博史さん、Charaさん、伊藤歩さん出演。
“酷くも美しい世界”といったら連想するのが岩井俊二監督の作品です。『PiCNiC』『リリィ・シュシュのすべて』のように、この映画もアンダーグラウンドの香りを漂わせている一作。

「円」が世界で一番強かった頃、日本には「イェン・タウン(円街)」という街、そしてそこに住む「イェン・タウン(円盗)」と呼ばれるアジア系を中心とした無国籍外国人が住んでいた。イェン・タウンの一人、アゲハは、麻薬売買に関わった母が何者かに殺されてしまったことにより一人ぼっちになってしまう。知り合いのつてで出会った娼婦、グリコと共に生活を取り戻そうとしていた矢先、グリコの客が窓から落ちて自動車に轢かれ死んでしまう。死体を隠そうと墓地まで運び埋めようとしたとき、死体の腸から一本のテープを発見する。このテープ、実は日本円のデータが入っており、この一本のテープによってその後アゲハたちはとんでもない事件に巻き込まれてしまうのである。グリコとその恋人フェイホンらは偽金を使ってライブハウスをつくる。歌の上手いグリコは歌手として成功し、テレビにも出るようになりイェン・タウンから離れていくのだが、時を同じくして、このデータを探すマフィアにグリコたちは追われる身となってしまう…。

胸にある蝶のタトゥーを、昔事故で亡くした弟の話を織り交ぜながらグリコはアゲハに話します。刺青を“IDカード”と例えるところが、なんかかっこいい感じがしました。映画は、マフィアのボス、リョウ・リャンキが実はグリコの兄であるということに代表されるように、分散していた人々やストーリーが、後半につれて中心に集まってくる、といった感じです。リョウ・リャンキとグリコの弟は死んでいるのですが、グリコの知り合いで銃の腕前がピカイチのラン(狼朗)は、映画の中でその弟の代わりとなる存在のような気がします。最後にリョウ・リャンキが殺されることが暗示されて映画は終わるのですが、これは「兄が弟に殺される」という二重の意味を持ってようやくこの幕を閉めるような感じも受けました。(ほんと、これはなんとなくそう思っただけですけれど…)。それはさておき、ラン役の渡部篤郎さん、カッコいいです♪おいしい役ですよね。Charaさんの独特のセリフまわしはこの映画の世界観を作っているといっても過言ではありません。『リリィ・シュシュのすべて』で悲しい運命をたどる少女を演じる伊藤歩さんは、凛とした演技が印象的で素敵でした。
by muyokunohoshi | 2007-12-10 09:48 | 映画