「私と父親にはすばらしい子よ。すばらしい子だから…手離さないわ。」
ルキーノ・ヴィスコンティ監督。
タイトルの「ベリッシマ」とはイタリア語で「もっとも美しい女性」「美少女」という意味のようです。
自分の幼い娘を映画子役にさせようと母親が奮闘するコメディ映画です。
母親は娘をオーディションに合格させようと、演技の講師をつかせたり、バレエを習わせたりします。しかし、娘はそれについていけず泣いてしまい母親はやきもき。
どうしても合格させたい一心で、最後には夫に内緒で新居のお金を映画関係者に渡しコネ代に使ってしまいます。
そんな母親役を演じるのはアンナ・マニャーニ。
物怖じしなし言動の母親役にぴったりでした。
コネをお願いした映画関係者の男性から川のほとりで言い寄られるのですが、母親はその男性を笑い飛ばします。いくらオーディションに躍起になっていても、「自分には家族がいる」という揺るがない母親の姿は、見ていて爽快でした。
またラストシーンで、ベッドで嘆く妻の靴を、夫が優しく脱がしてあげるシーンも良かったです。
人気子役の芦田愛菜ちゃんのように輝く一等星の星もあれば、その裏にはこの映画のように幾戦の親子のドラマがあり、小さな星として淡く光っているんでしょう。そう思うと感慨深いものがあります。
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by muyokunohoshi
| 2011-11-28 11:40
| 映画